FIFA(国際サッカー連盟)の主催で4年に1回開催されるサッカーワールドカップ。
サッカーワールドカップは世界最大のスポーツイベントであり、2018年ロシア大会の全試合視聴者数は推定32億人に上りました。
このようなオリンピックをしのぐ、ワールドカップにおいて、世界・日本スポンサー企業にとっては最大の価値を持ちます。
サッカー日本代表スポンサー枠の実態と影響
まず、ワールドカップ(FIFA)スポンサーとは?
FIFAワールドカップのスポンサー料は、大会ごとに膨大な金額になります。
例えば、2018年のロシア大会ではスポンサー料の総額が1,815億円、2014年のブラジル大会では1,792億円と報告されており、これは各大会の主要な収入源となっています。
個々の企業にとって、ワールドカップのスポンサーになるための料金は年間で5億円から50億円程度とされており、多くの企業が複数年の契約を結ぶことから、その総額はさらに増大します。
これらのスポンサー料は、FIFAの総収入の約31.2%を占め、大会運営の重要な財源となっています。
また、ワールドカップのスポンサーには異なるランクが存在し、その中でも「FIFAパートナー」という最上位のカテゴリーは特に重要です。
このパートナーは、全てのFIFA主催試合で広告を出す権利を持ち、FIFAロゴの使用権や関連ビジネスへの参加権を8年間(2大会分)保有します。
ただし、このパートナーシップは1業種につき1社のみが選ばれるため、競争は非常に激しいものとなります。
例えば、アディダスがFIFAパートナーである間は、ナイキのような競合他社は契約を結ぶことができません。
これにより、アディダスはスポーツ業界での自社の地位を独占的なものにし、ブランドイメージを高めることが可能です。
2022年のワールドカップでは、さまざまな業界のトップ企業がFIFAパートナーとして名を連ねており、これは彼らにとって顕著なマーケティングの機会となっています。
これらの企業は、グローバルな規模の大会を通じて、世界中に自社のブランドをアピールするチャンスを得ています。
ワールドカップのスポンサー枠はいくつですか?
FIFAワールドカップのスポンサーシステムは、複数のレベルに分かれており、各レベルでスポンサー枠の数は異なります。
最上位に位置する「FIFAパートナー」の枠は、通常6〜7社に限られています。これらの企業は、FIFAが主催するすべての大会で広告を出す権利を有し、最も包括的な露出を保証されています。
次に位置するのが「ワールドカップスポンサー」で、こちらの枠は最大8社までとされています。
これらの企業は、ワールドカップの直接的な関与とFIFAロゴの4年間の使用権を得ることができます。
2018年ロシアW杯では、このカテゴリのスポンサー料は1社あたり平均して約15億円から30億円の間で推移しました。
これにより、企業はFIFAワールドカップの特定のイベントやプログラムに関連する特別な広告権を得ることができます。
さらに、地域ごとに特化した「リージョナルサポーター」枠も設けられており、こちらは各地域ごとに1〜4社が選ばれることが一般的です。これらのスポンサーは、特定の地域における広告権とイベントへの参加権を獲得します。
スポンサーのデメリットとは
一方でデメリットとしては、高額なスポンサー料が挙げられます。例えば、日本代表の不振や不祥事などがブランドイメージに悪影響を与える可能性があります。
また、大規模な投資を行うため、期待される効果が得られない場合、企業の財務に大きな打撃を与えることもあります。
サッカー日本代表スポンサー枠とは(都市伝説)
サッカー日本代表のユニホームのスポンサーについて
サッカー日本代表のユニフォームスポンサーとして知られるアディダスは、1970年代からの長い歴史を持ち、サッカー業界での地位を確固たるものにしています。
日本代表のユニフォームを提供することにより、アディダスは自社のブランド価値を高め、グローバル市場での存在感を示しています。
たとえば、アディダスが開発した「ClimaCool」テクノロジーは、高い通気性と吸湿性を備えており、選手が最適なコンディションでプレーできるように設計されています。
また、アディダスは個々の選手ともスポンサー契約を行っており、特に注目度の高い選手との契約によって、ブランドイメージの向上と製品のプロモーションが実現されています。
例えば、2021年には日本代表の中心選手である久保建英選手がアディダスとのスポンサーシップ契約を更新し、その際のプロモーション活動によりアディダスの売上が大幅に伸びる効果が見られました。
日本代表選手選考におけるスポンサーの影響
サッカー日本代表の選手選考において、スポンサーの影響が話題になることがあります。一部では、スポンサー企業との契約がある選手が優遇されるという「スポンサー枠」の存在が指摘されています。
これは、スポンサー企業が選手選考に間接的な影響を与え、その結果、企業と契約している選手が代表チームに選ばれやすくなるというものです。ただし、このような影響は公式には認められておらず、実際のところは不透明です。
南野選手は2022年現在、アディダス社と契約を交わしている。
そんな、にわかに騒がれる“スポンサー枠”説に拍車をかけたのが、かつて日本代表を率いたバヒド・ハリルホジッチ氏だ。
2022年4月にサッカー情報サイト『Football Tribe Japan』が配信した記事によると、同氏がクロアチアメディアのインタビューに応えた際に、2018年ロシア大会直前での解任劇についても話したようだ。
《大物選手たちと契約しているスポンサーが、私が(彼らを)ワールドカップに連れて行かないかもしれないと聞いていたのだ。
それにそのスポンサーは日本サッカー協会に出資していた。日本では、お金を出す人が物事を決めるんだ。だから、私が一部の選手を(ロシアW杯に)連れて行かないかもしれないという話を聞いて、私をクビにした》
つまりは“スポンサー枠”の選手を代表メンバーから外そうとしたところ、ハリルホジッチ氏は日本代表監督の座から下された、と訴えたのだ。
“スポンサー枠”とされた香川と本田 「そのハリルから外されそうだった選手というのが、10番を背負っていた香川真司と、“キング”として君臨していた本田圭佑だったと聞いています。
4年に1度開催されるW杯はもはやイチスポーツ大会ではなく、オリンピックと以上に世界から注目されるビッグマーケットの見向きもあります」
日本サッカー協会会長の田嶋幸三氏 はもちろん、ハリルホジッチ氏にしてみればチームの勝利を最優先とする、また自身の戦術を世界にアピールする場として捉えていたのだろう。
“ビジネス”はもちろん、周囲の意見を聞き入れることはなかったようだ。
「ただ、スポンサーは趣味でチームや協会に出資しているわけではなく、ビジネスとしてリターンを求めるのは当然のこと。ハリルの後を急きょ引き継いだ西野(朗)さん、そして後任の森保さんとサッカー協会関係の日本人が監督に就いたのも、田嶋幸三会長をはじめとした、協会の忖度が働いた結果なのかもしれませんね。
“スポンサー枠は絶対にない”とは言い切れない部分もありますが、2022年、南野選手や柴崎選手がチームに必要ない選手とも思えません。本戦で苦境に立たされた時、“彼らがチームを救ってくれる”との判断で選ばれたと信じましょう」
スポンサーの影響があるとすれば、それは選手選考の公正性に疑問を投げかけることになります。
一方で、スポンサーシップはスポーツの世界では一般的であり、企業と選手との契約は避けられない側面もあります。
重要なのは、選手の能力と実績が選考の基準であるべきであり、スポンサーとの関係が過度に影響を与えるべきではないということです。
スポンサー枠と言われるほどの、スポンサーの商業的価値と影響
サッカー日本代表に対するスポンサーシップは、企業にとって大きな商業的価値を持ちます。
例えば、企業ロゴが代表チームのユニフォームに掲載されることは、広告としての効果が高く、企業のブランド価値を高めることができます。
また、スポーツイベントは多くの視聴者を惹きつけるため、スポンサー企業は広範な視聴者にリーチすることが可能です。
サッカー日本代表のスポンサー枠に関する議論は、スポーツと商業の関係性を象徴するものです。企業とスポーツの相互作用は、今後も注目されるトピックであり、そのバランスをどのように取るかが重要な課題となっています。
サッカーファン、ビジネス関係者、そして一般の視聴者にとっても、このテーマは興味深いものでしょう。サッカー日本代表を支えるスポンサーの役割と影響について、引き続き注目していくことが重要です。